こんにちは、ブロガーのキクタリオです。
このブログでは、年300冊の本を読む私がビジネス書や小説の要約をお届けします。
今回は『何者かになりたい(熊代亨著)』を紹介します。
学生時代は「自分は何でもできるぜ!」って万能感に満ちていたのに、気がついたら何者にもなれなかった。はあ・・・
こんなあなたに読んでほしい本です。
- 「何者問題」とは?
- 「何者かになりたい」に潜む危険
- 真に「何者」になる方法
著者の熊代亨さんは精神科医。現代人の社会適応などについて発信し、多くの著書を出しています。さっそく始めましょう。
「何者問題」とは?
人間は誰もが「何者かになりたい。他人からも『あの人は〇〇の人だよね』と認められたい」という欲求を持っている。
しかし「自分が何者か」を見つけるのは難しく、子どもから大人まで心を悩ませている。これが「何者問題」である。
SNSなどでインフルエンサーのキラキラした生活が目に入ってくる現代では、「何者にもなっていない自分」を惨めに感じる人も多い。
しかし「何者問題」に悩むこと自体は悪くない。自分の社会的な役割や居場所を求めるのは、人間の心理として自然だからだ。
「何者かになりたい」に潜む危険
「何者かになりたい」心理には色々な危険が潜んでいる。中には、SNSが生活インフラとなった現代ならではの危険もある。
SNSで承認欲求を満たしても、「何者」にはなれない
現代では、SNSのフォロワー数やいいね!の数、YouTubeのチャンネル登録者数を増やすことで「何者」かになろうとしている人が多い。
確かに、一時的には承認欲求が満たされるかもしれない。しかし長期的に見るとそのやり方は危険である。
なぜなら、フォロワー数やいいね!の数、チャンネル登録者数を大きく伸ばそうとすると、フォロワー(視聴者)が好むように自分を偽らないといけなくなるからだ。
それが悪い方向に進むと、道徳に反する過激なコンテンツで炎上を狙ったり、内容を盛るタイトルやサムネイルで視聴者を釣ったりしてしまう。
そんな「忖度」にまみれた自分は、果たして「何者かになっている」と言えるのだろうか。
「何者かになりたい」心理を悪用するビジネス
いつの時代にも人間は「何者かになりたい」と欲している。そしていつの時代にも「何者かになりたい」人間の心理を利用して金を稼ぐビジネスが存在する。
たとえばインターネットが普及する以前には、新興宗教がその代表的なビジネスだった。
教義や儀式を通じて、教祖や他の信者とつながっている感覚が得られる。人とのつながりは、最も手軽に「何者か」になれる方法だ。
そのつながりを失いたくないから、お布施を払うし高額な商品も買う。何者かになるつもりが、結果的にはお金も家族も友人もすべてを失ってしまう。
オウム真理教の一連の事件や、安倍晋三元首相の銃撃事件などを機に新興宗教の危険性は広く認知されたが、同じようなビジネスは他にもたくさんある。
ジャニーズやAKBなどのアイドル商売や、インフルエンサーのオンラインサロンも、信者ビジネスという点では新興宗教と同じだ。
「何者かになりたい」という自分の気持ちを他人の養分にされないよう、注意が必要だ。
他人に依存する「何者」は危ない
「自分は〇〇の恋人だ」や「自分は〇〇の親だ」のように、特定の誰かとの関係で自分を「何者か」にするのは危ない。
「何者かになりたい」という自分のエゴのために、恋人や子どもを利用しかねないからだ。それは、利用された恋人や子どもにとっての「何者かになりたい」を邪魔することになる。
真に「何者」になる方法
結局のところ、「何者」かになるとはアイデンティティを獲得するということだ。
このアイデンティティは、「どこかのコミュニティに所属している」とか「誰かと繋がっている」のように他人に依存するものではダメだ。
自分の趣味、嗜好、打ち込んできたことなど、内面的なものからアイデンティティを見つけ出すのがおすすめだ。
自己実現のために恋人や子どもに過度な期待を寄せるのではなく、まずは自分自身がアイデンティティを獲得する。結果的にはそれが、他者との関係を良好にすることにも繋がる。
キクタリオの感想
私は31歳で独立してから、本書で言う「何者問題」に悩み続けていました。
会社というコミュニティがなくなり、人との繋がりが減った結果、「自分」というものが分からなくなってしまったのです。
一時期はTwitterに居場所を求め、日夜、「意識高い系ツイート」を投稿し、インフルエンサーに媚を売り、クソリプ野郎と闘っていました。その結果、虚無感しか残りませんでした。
そうして30代中盤になり、失望というより絶望に近い気分で古本市をふらついていて見つけたのが本書でした。
読んで心がちょっと楽になりました。表面的な成果を求める必要はない。植物がゆっくり根を張るように、少しずつ自分のアイデンティティを見つければいい。
私と同じように、自分の存在意義に悩む30代、40代くらいの方には、ぜひ読んでほしい1冊です。
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